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研究概要
研究分野は、英語学・言語学です。主な関心は言語変化(文法化、構文化)で、共時・通時を行き来しつつ研究しています。従来の形態・統語レベルから、意味論・語用論のレベルまで諸領域を扱います。アプローチとしては、英語語法文法研究の手法を好みます。まず文献学的な調査を行って、大規模コーパスと質的な調査を通して記述研究を進めていきます。博士論文では、英語動詞派生前置詞の文法化の記述研究に取り組みました(研究紹介はこちら)。残された課題は多く、今後も研究を続けていきます。
また、大学教員としては英語教育にも携わるため、英語学研究の関連諸分野への貢献についても関心があります。これまでの取り組みとしては、言語の動的側面や、品詞体系、発音指導に注目した実践研究があります。今後は、5文型、英文法体系についての研究を構想中です。
大学院生時代は、言語研究者が「認知科学の一分野としての言語(科)学」を標榜することに躊躇いがありましたが、研究テーマの広がりとともに、近頃は、そうも言ってはいられない状況となってきました。2024年現在の指針としては、言語学の基礎研究に従事しつつも、関連諸分野の知見との関係性を常に検討し、認知科学における位置づけを考えて言語分析を推進していくことが課題です。
共同研究
通言語的な観点からみた、諸言語にみられる言語変化の普遍性に取り組んでいます。英語学研究と並行して、主に共同研究を通して進めています。代表的なものは、日本語の文法化・構文化に関わるものです。ここでの「日本語」には、日本国内の諸方言、新規表現 (novel expressions) も含まれます。主な研究成果はこちら。
麻生玲子・林智昭. 2017.「南琉球八重山語波照間方言の引用助詞=teに見られる文法化」『日本言語学会第154回大会予稿集』254-259.
林智昭. 2018.「語彙項目の言語変化に関する基礎研究:2010年『流行語大賞』を例に」『日本語用論学会第20回大会発表論文集』13: 253-256.
林智昭・松浦光. 2019.「インターネットスラングにおける意味変化:新規表現『耐え』を中心に」『日本語用論学会第21回大会発表論文集』14: 89-96.
松浦光・林智昭. 2021.「事象構造メタファーからみた新規表現:『経験値』をめぐる冒険へ」『日本語用論学会第23回大会発表論文集』16: 187-190.
また、英語はもちろんですが、言語を問わず、教材作りにも関心があります。2016年度秋からの共同研究「琉球諸語国頭語における危機言語教材作成のための記述研究」は楽しかった。各地域の文法スケッチが一通り進み、それ以降の時期は、言語継承へとシフトする研究者が増えた印象です(国内における危機言語の文法スケッチ、研究状況と全般については、下地理則研究室@九州大学ホームページのこちらを参照)。実際は、調査すべき課題は多く存在しますが、現在(この文章作成中の2023年8月29日)に至るまで、言語継承・言語復興に向けた取り組みが各地で行われています。
その他、2020年度以降のコロナ禍における取り組みや、学際的な研究もあります(論文化されるかは不明)。今後は、沖縄本島にいるという利点も活かして、研究を広げていきたいものです。上記テーマや、その他学際的な研究など、何かお力になれることがあれば、お気軽にお声かけ下さい。フットワークは軽い方です。