大学院進学について

ここでは、大学院進学に関わる情報をまとめておきます。

2024年度現在、本ゼミで、大学院生の研究指導、研究員等の受入を行うことはできません。本学大学院の研究生や入学を希望する場合は、名桜大学の大学院ホームページをご覧下さい。 

はじめに

「進学に興味がある」という学生の声を聞くことは、我々、大学教員にとっては嬉しいことです。しかし、大学院に進学すれば研究者になれるかというと、必ずしもそうとは言い切れません。人文系に限っては、分野ごとの事情はあるものの、むしろリスクの方が大きくなりかねないことを、よく熟知しておく必要があります。理系では、多くの学生が修士課程までは進む分野も多いのではないでしょうか(事情は分野ごとに異なるところもあり、断言は避けます)。学問領域のブーム・勃興も進路に影響しかねず、出口戦略も視野に入れておくことも重要です(進学を考えたとき、そこまでは考えないだろうけれど)。

インターネットに公開されている情報だけで全てを判断するのは早計です(むしろ書いていないことの方が多いし、行間を読むには背景情報が必要)。身近な存在、例えば指導教員、所属大学・学部・大学院の教員、進学した先輩、研究室の先輩(修士・博士の学生)の話を聞いて、進学によって得られることと失われることは何か、よく検討してから決断することをお勧めします。なお、院生(大学院生)に尋ねる場合、M1(修士課程1年)に進学したばかりの学生は、院試を突破したことで妙な自信に満ちあふれていますので、注意して下さい(誰もが?一度は通る道です)。周囲を観察すると、M1の後期や、修論で挫折するなどして博士課程に進学しないことも多いので(ここでは「多い」というより「ある」と書くのが適切でしょうか)。できれば、各学年の院生の話を聞いておくことをお勧めします。

読んでおくとよい本

家入葉子. 2005.『文科系ストレイシープのための研究生活ガイド』東京:ひつじ書房.著者HP
家入葉子. 2009.『文科系ストレイシープのための研究生活ガイド  心持ち編』東京:ひつじ書房.著者HP

石黒圭. 2021.『文系研究者になる―「研究する人生」を歩むためのガイドブック』東京:研究社.


大学院進学全般について(ウェブサイト)

現在、リンク作成中です(今後、増えます)。記事により広告が入るため注意です。
以下のページ編集の基本方針として、括弧内にウェブサイト、ブログ等の名称が記されています。ただし、ホームページ(表紙、トップページ)名称が不明のとき(例えば、記載されていない場合note)をはじめ、補足や説明を加えていることがあります。[PDF] は、PDFファイルへの直リンクであることを示しています。引用文献の形式で書いているところもあります。


大学院入試に向けた活動指針 ー 他大学も視野に|Dr. Kano@note
大学院進学と指導教員|下地理則(九州大学人文科学研究院准教授)@note

大学院ってどんなところ?:文系学部生の選択肢として考える(横森大輔先生@京都大学人間・環境学研究科)
学際系研究科で学んだこと(ドイツ語教員が教えながら学ぶ日々)

大学院のことなど(院希望者, 院生へのお説教)
心理学系の方向け。

大学院進学を考えている方へ
鶴見太郎先生@東京大学大学院総合文化研究科によるウェブサイト。文系大学院全般に関する心構えにも詳しい。

学生の皆さんへ(富田賢吾のページ - 東北大学天文学教室)
冒頭の注意書きを一読の上、どうぞ。ここに書かれていることは、とても誠実(少なくとも、大学院在籍中に自分が受けた数多の助言よりも的確で、誠実)だと思います。


修士課程からのこと

四月から大学院へ進む人へ(bluelines)

研究が進まないとき,どうするか?: 「研究が何であるか」まだわかっていない言語研究者の卵のための助言 [PDF](黒田航先生@杏林大学医学部)
その他の(非公式論文,エッセイ,危険文書など)」ページから読むことができる。院生生活に迷ったとき、困ったときに背中を後押ししてくれる読み物が多いコーナー。



博士課程への進学と生活

研究との関わり方、人生観は、研究者のライフステージごとに変わる。以下の資料を読むときには、どの時期に書かれたものかも念頭に置くとよい(D在籍中か、ポストク中か、専任職を求めての就職活動中か、専任職に就いてからか)。心が折れそうになったときには、無理せず立ち止まって、気持ちを発散することも重要。

博士課程進学という決断:青年の大成 - 学生に読んでおいて欲しい本|Dr. Kano@note

博士課程の誤解と真実 ー進学に向けて、両親を説得した資料をもとにー小野田淳人先生@山陽小野田市立山口東京理科大学薬学部による、学振PD時代の東京理科大学「こうよう会」における発表資料)

Ph.D student (博士課程学生)のこころえ海外研究者のありえなさそうでありえる生活

谷中瞳. 2021.「それでも私が研究を続ける理由」, 言語処理学会第27回年次大会ワークショップ「若手研究者交流のニューノーマルを考える」発表資料.
B, M, Dの研究生活を振り返ってのコメント。

どうやって博士論文の完成までたどりつくか?(ドイツ語教員が教えながら学ぶ日々)


学振の申請

「学振」については、上記記事群(「この行より上の記事の多く」という意味)を参照のこと。学振ほど情報格差が問われるものはないと思う。院生全員がDCに通っている研究室も存在する(参考)。分野、申請時の審査員、研究室によっても結果が変わってくる。通るまで応募し続ける姿勢が大切。

文章を書き始めたら長くなったのでこちらにまとめました(ポイントは「よい申請書を書こう。そのための的確な助言者を得ることは有益」)。ここでは代表的なものだけ紹介します。

学振特別研究員になるために~2024年度申請版
業界で最も有名と思われる資料。まずはここから。「学振本」も有名。

研究者として生き残るには

アカデミックキャリアは多様でよい。ストレートに院進学、そのままアカポスに就くこともある。海外武者修行(ポスドク等)を経る場合もある。キャリアの多様性が柔軟な着想、方法論の独自性を生む。発光ダイオードなどは、そのような不思議な経緯で生まれたそうだ (p.c.)。だからこそ、先人達の軌跡、そこに至るまでの判断、心情、価値観に振れることには大きな意義があると思っている。

どうやって研究者として生き残るか?ドイツ語教員が教えながら学ぶ日々
30歳からの10年間をどう過ごしてきたのかドイツ語教員が教えながら学ぶ日々
ドイツ語の先生はこの先生き残れるのかドイツ語教員が教えながら学ぶ日々

文系の研究者になりたい人達に知っておいてほしいこと(bluelines)
憧れよう(bluelines)
公募のしくみ(bluelines)

研究助成金と教員の面接(MITポスドクの就職活動記録)

テニュアトラック助教の研究室立ち上げ

研究人生を充実させる

安定するまで(アカポスを目指すのであれば、任期なしポストに就くまで)は、全く考えも及ぶ余裕がないけれど。院生時代から、研究人生として何を残すか、ふと考えることがある。研究者自身が人生を充実させることも、後進への良い影響ということを考えると(長い目で見ての)課題なんだろうな。そんな余裕はないけど。

海外就活(増田直紀のブログ)
海外就活2(増田直紀のブログ)
テニュア(終身在職権)と教授昇進の審査(増田直紀のブログ)

ところで、研究キャリアについての発信は、文系より理系の研究者によるものが多い気がするのは、気のせいだろうか。